特定非営利活動法人「北斗会」では、鹿児島県霧島市を拠点に、障害福祉サービスの就労継続支援B型事業を提供しております。仕事(作業)内容や工賃、利用料だけでなく、どんな方が対象となっているかなど、さまざまな観点で解説していますので、ぜひご覧ください。
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就労継続支援B型事業所必見!「工賃向上計画」について考察【令和6年度~8年度対応】

就労継続支援B型事業所必見!「工賃向上計画」について考察 就労継続支援B型とは?仕事(作業内容)や工賃など紹介!
就労継続支援B型事業所必見!「工賃向上計画」について考察

皆さんは工賃向上計画について都道府県ごとに提出義務があるのはご存じですか?

おはなちゃん
おはなちゃん

どうして工賃向上計画の提出が義務なの?

おはなちゃん
おはなちゃん

事業所と利用者の間で工賃について話すだけではいけないの?

厚生労働省は、就労継続支援B型事業所などに対し、障害のある人が地域や社会で自立(自律)した生活をおくるために必要とされる、「よりよい働き方の実現」「収入の向上」などの観点を重要視し工賃向上に関する取り組みを進めました。この工賃向上の取り組みの一環として、すべての就労継続支援B型事業所に工賃向上計画の策定と実行、実施が求められています。

実際に利用者および各就労継続支援B型事業所全体の工賃を向上させるため、支援(サービス)の質の向上、生産効率や生産性の向上、目標設定にともなった計画および実施、などやらなくてはいけないことが多くあります。これらの項目を具体的に進め、理解してもらうために工賃向上計画の策定が重要なのです。

就労継続支援B型事業所の工賃とは?

就労継続支援B型事業所の工賃とは?

就労継続支援B型事業所を知っている方は工賃という言葉の意味を知っていると思いますが、一般就労の方やA型事業所を利用している方にとっては聞きなじみのない言葉かと思います。

就労継続支援B型事業所にとっての工賃とは一般就労や就労継続支援A型の給料と同等の意味を持ちます。なぜ工賃と呼ばれるか理由として、雇用契約を結ばずに生産や加工などの仕事(作業)をした利用者に支払われる報酬だからです。

工賃向上計画について知るためにも、工賃について少し詳しく解説していきます。工賃の仕組みについてですが、就労継続支援B型事業所やそれに付随する身体障害者授産施設などで生産活動をおこない得た収益から経費を差し引いた金額を工賃として利用者に支払います。

また、生産に関わった利用者が複数いる場合は、人数で配分します。ほかにも、事業所により決まった金額が支払われる場合は、利用した日数に1日分の工賃を掛け工賃を支払う場合もあります。

っ工賃についてさらに詳しく知りたい方は下記記事をご参照ください。

工賃向上計画について

工賃向上計画について

工賃向上計画とは、就労継続支援B型などで生産性のある活動などの支援(サービス)を障害のある人が受け、さらに地域で自立(自律)した生活をおくるために必要な工賃を向上させることを目的とした各事業所がたてる工賃水準の向上計画を指します。

工賃向上計画は、平成19年度「工賃倍増5か年計画」がきっかけとなります。「工賃倍増5か年計画」は、都道府県をはじめ各市区町村の事業所が地方自治体、産業界などの協力を得ながら官民一体となり取り組んだ計画です。結果、工賃水準のステップアップにつながり、「工賃倍増5か年計画」の期間終了後の平成24年度以降は3年ごとに「工賃向上計画」を策定し、工賃向上に貢献できるよう取組を進めてきました。

今回、各都道府県、地方自治体の就労継続支援B型事業所を対象に令和6年度から令和8年度までの3年間の「工賃向上計画」の策定・提出が義務付けられました。そのため各事業所が作成・提出する必要があります。

内容は、現状分析、目標設定、サービスの内容、具体的な作業などについてとなっています。次の項目で詳しく解説していきます。

鹿児島県の就労継続支援B型事業所の平均工賃について

鹿児島県の就労継続支援B型事業所の平均工賃について

令和6~8年度の鹿児島県の目標平均工賃金額について紹介します。まずは下記をご覧ください。

令和6年度月額26,995円

令和7年度月額27,654円

令和8年度月額28,329円    

鹿児島県では、平均工賃の過去3年間(令和2年度~令和4年度)の伸び率を考慮し毎年2.44%の増加を目標としています。

令和5年度の工賃実績(月額)は26,352円です。この時点で令和6年度の目標月額工賃との差額が643円となります。このように就労継続支援B型事業所は年々工賃が増加傾向にあります。

参照:令和5年度工賃実績 

また、就労継続支援B型事業所の利用者数、事業所数も年々増加しているため、各事業所も様々な支援を行い工夫しています。最近では専門分野に特化した事業所が多く見受けられ利用者の増加が工賃増加の要因のひとつとなっています。たとえばAIを用いたパソコン教室、アート制作などです。目標工賃達成のためには利用者の確保と支援の内容、生産性は必要不可欠となります。

就労継続支援B型事業所がやっておきたい3つの工賃向上計画

就労継続支援B型事業所がやっておきたい3つの工賃向上計画

就労継続支援B型事業所の平均工賃目標額が確認できたところで次に必要なステップは、工賃向上計画です。工賃向上計画とは、就労継続支援B型事業所で生産性のある活動などの支援(サービス)を障害のある人が受け、さらに地域で自立(自律)した生活をおくるために必要な工賃を向上させることを目的とした各事業所がたてる工賃水準の向上計画を指します。

では、就労継続支援B型事業所がやっておきたい3つの工賃向上計画とは、わかりやすくまとめてみました。

  • 現状分析

どんな生産活動が収入の向上につながっているのか、また何が収入の負担になりうるのかなどの現状の把握および分析をします。

さらに利用者、職員の配置なども見直すとよいでしょう。

<具体例>

1.計画作成時の利用者数
2.利用者への工賃の支払い額および1年間の作業(支援)時間など
3.職員数
4.就労継続支援B型事業所の理念や運営方針および事業内容
5.将来性
6.今後見込まれる作業部門別の収支
7.経営環境
8.今後の事業所や作業部門の方向性など
  • 目標設定 

現状分析をもとに、令和6年~令和8年度の3年間で就労継続支援B事業所が目標とする計画を策定します。

<具体例>

1.提供予定のサービス内容および今後取り入れたい具体的作業など
2.各年度ごとの目標工賃額
3.工賃を向上するための具体的な施策
4.工賃向上計画推進に必要な組織体制(従事者の配置)の改善
5.依頼された場合の請負金額アップのための取引先との交渉
6.既存商品の新規販売、新規展開方法(販売チャネル)の開拓および確保
7.既存商品とセット販売ができるような新商品の開発および提供までの時間など
  • 書面の作成と提出

各都道府県ごとに定められている書式があります。定められた書式に従って計画を作成し期限内に厚生労働省社会・援護局障害保険福祉部長あてに提出します。

注意する点は、就労継続支援B型事業所のサービス費(Ⅰ)~(Ⅲ)を選択した場合、基本報酬の算定にかかわるため提出に漏れがないように確認しましょう。

また計画作成した工賃向上計画と工賃実績は、可能な範囲で「WAMネットや事業所のWebサイト(ホームページなど)で公表すること」とされています。

なぜなら、共通認識下でおこなう具体的な活動を明瞭化し、主体的に全員が取り組めるようにサポート、実施することで目標達成のポイントになるためです。さらに工賃向上計画の提出後は、管理者および施設長が率先して計画の実行に取り組むことが重要視されています。

重要視される一方で工賃向上を実行するためには、管理者および施設長だけが行動しても達成できません。そのためのも可能な範囲で良いので支援員や利用者も現状分析、目標設定などの計画策定プロセスに参加できるようにすることで、工賃向上計画の共有にもなり、イメージに沿ったことで実行、達成しやすくなるでしょう。

工賃向上のために今できることは?

工賃向上のために今できることは?

まずは、管理者、施設長が率先して内容の把握に努め行動し実行していくことです。従事者(職員、指導員)は疑問に思ったこと、感じたことはそのまま放置せず周りに聞き納得してから実行しましょう。就労継続支援B型事業所全体で工賃向上計画の内容を認識し把握することで、利用者への説明も統一化でき混乱やトラブルの回避にもつながります。

また、工賃向上計画に沿ってスムーズに作業に取り組んでいただけるように、利用者との関係性の構築、雰囲気作りも重要になるので、気を付けていきましょう。

できるならば、可能な範囲で事業所のwebサイト(ホームページなど)で工賃向上計画を掲載、明示するのもよいでしょう。口だけで説明するよりも書いてある文をみて説明することで伝わる内容もあります。

工賃向上計画実行については、就労継続支援B型事業所全体で話し合いを行い、長期目標、短期目標を利用者ごとに一緒に計画することもよいでしょう。

知っておきたい令和6年度障害福祉サービス等報酬改定についてわかりやすく解説

知っておきたい令和6年度障害福祉サービス等報酬改定についてわかりやすく解説

まず、障害福祉の報酬改定および制度改正とは、 障害福祉の報酬改定・制度改定とは、社会情勢をふまえて行われる、報酬および制度の見直しのことをいいます。 障害者総合支援法(旧:障害者自立支援法)が施行されたのは2006年です。 2006年以降は、社会のニーズ変化に合わせて、原則3年に1度見直しが行われています。

障害福祉サービスには様々な事業所があります。これらの項目では就労継続支援B型事業所の令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について2つのポイントで解説いたします。

ポイント①|サービス横断的事項の報酬改定

現行の処遇改善加算の一本化と加算率の引き上げ、どこの施設も当てはまりますが、目下優先的な課題である人材確保へ向けて、ベースアップ要件の見直しおよび加算率の引き上げ、現行加算の一本化や職種間配分ルールの統一化、などが行われます。

障害者虐待防止措置や身体拘束の適正化など、必要な基準を満たしていない場合の減算の導入および見直しを行います。虐待防止措置が未実施の場合、未実施の事業所に対する「虐待防止措置未実施減算」が新設されました。また身体拘束廃止などの未実施減算の単位数が見直されています。

食事提供加算の見直しにつては、通所サービスの施設では、食事提供加算は令和6年度末までの経過措置となっていましたが、栄養面の評価を導入した場合は、経過措置が令和9年(2027年)3月31日まで延長されます。

障害福祉現場の業務効率化も重要です。就労継続支援B型事業所の業務効率化アップへ向けて、管理者の兼務範囲の見直しを行い、テレワークの取扱いの明確化、指定申請や報酬請求関連書式の標準化などが行われました。

ポイント➁|就労系サービスの報酬改定

まずは、定員10人以上から実施可能となるよう見直しを行います。就労継続支援B型事業所の基本報酬には人員配置「6:1」の報酬体系が新たに設けられています。

また、各就労継続支援B型事業所の平均工賃月額に応じた報酬体系では、平均工賃月額が高い区分の基本報酬の単位数を引き上げ、低い区分の単位数を引き下げるなど、メリハリのついた見直しが行われています。さらに「目標工賃達成加算」も新設されています。

基本報酬を考慮し、就労定着率のみに応じた報酬の体系見直しを行います。就労定着支援について、就労定着支援の基本報酬は、現行では利用者数と就労定着率に応じた報酬体系になっていおります。さらに、令和6年度の報酬改定では、利用者数の区分は廃止され、就労定着率のみに応じた報酬体系になりました。

スムーズな実施のため、基本報酬や人員配置基準などの設定を行います。 就労定着支援とは、新設のサービスです。

就労選択支援について、各就労継続支援B型事業所の就労選択支援サービス費や加算・減算、人員配置基準などが定められています。

上記のように2つポイントを中心に行うとスムーズに支援の提供ができるでしょう。無理のない範囲で確実に行いましょう。

まとめ|就労継続支援B型事業所必見!「工賃向上計画」について考察【令和6年度~8年度対応】

まとめ|就労継続支援B型事業所必見!「工賃向上計画」について考察【令和6年度~8年度対応】

今回の記事は、就労継続支援B型事業所必見!「工賃向上計画」について考察【令和6年度~8年度対応】について解説してきました。

現行提出済みの就労継続支援B型事業所の方もいるでしょう。工賃向上計画について言葉も聞いたことのない利用者のかたもいるでしょう。これから新設し、提出される就労継続支援B型事業所もあるでしょう。各事業所の工賃向上計画の策定、作成に少しでも貢献できたら幸いです。

ぜひ参考にしてください。この記事でわかることを簡単にまとめました。

まとめ
  • 就労継続支援B型事業所の工賃とは?
  • 工賃向上計画について
  • 鹿児島県の就労継続支援B型事業所の平均工賃について
  • 就労継続支援B型事業所がやっておきたい3つの工賃向上計画
  • 工賃向上のために今できることは?
  • 知っておきたい令和6年度障害福祉サービス等報酬改定についてわかりやすく解説
  • まとめ

就労継続支援B型「ワークショップOHANA」にご興味・ご相談があれば、ぜひ下記までお問合せください。

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法人名特定非営利活動法人 北斗会
代表理事高野 和子
提供サービス種別就労継続支援B型事業
施設名ワークショップOHANA
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