就労継続支援B型事業所の業務日誌の正しい書き方を知りたい!
実地指導で指摘されない業務日誌の書き方ってあるの?
利用者のことを書くと言っても、業務日誌って一体どんな注意をして書かなければならないの?
就労継続支援B型事業所の適切な運営を図るためにも、業務日誌の正しい書き方を理解しておかなければなりません。
業務日誌は、実地指導でも作業所の実態を図るうえで監査官から入念にチェックされる重要な書類です。
本記事では、就労継続支援B型事業所における業務日誌の書き方について、詳しく解説しています。
- 就労継続支援B型事業所における正しい業務日誌の書き方
- 業務日誌の目的と役割
- 実地指導で指摘を受けない業務日誌の書き方と注意点
- 就労継続支援B型事業所の業務日報テンプレート
最後まで読むことで、就労継続支援B型事業所の職員(従事者)が正しい業務日誌の書き方を理解できます。
ぜひ、最後までご覧ください。
就労継続支援B型事業所における業務日誌とは?書く前にやっておくべき3つのポイントを紹介!
業務日誌とは、1日の振り返りを記録する書類であり、今日1日誰がどんな作業をしたか記録をする重要な書類です。職員と利用者が記入をする場合があります。
利用者が記入する場合、取り組んだ作業の内容・結果を「報告・連絡・相談」する力、自分自身で作業の進捗状況を見直し文をまとめる力、作業をして問題点の発見ができ、自分自身で問題を解決に導く力、読み手(相手)がいるという意識を持って書く文の言葉選び、などを身につけてもらうことが目的です。そのことがスキルアップ・ステップアップに繋がるでしょう。
就労継続支援B型「ワークショップOHANA」では、業務日誌は個別支援計画書に沿って職員(従事者)が支援を行い、利用者本人が1日の振り返りを記録しています。利用者が記録する場合、やりたい事の発見、反省、評価など、自分を見つめなおす時間にもなっています。そのため毎日の記録が重要となるでしょう。
その点、作業日誌と支援日誌は通常と異なった事案が発生した時に記録をします。利用者または、家族からの相談事、作業中のトラブル、個別支援計画書の変更、モニタリング・サービス担当者会議などがある場合詳細に記録を行います。
作業日誌・支援日誌は毎日記録を行わないため、アクシデントが発生した場合のみ記録します。なにか問題、アクシデントなどあったとき参考にするのが作業日誌、変更などある場合の参考にするのが支援日誌、毎日の記録が業務日誌なので3つの書類はそれぞれに役割があり重要になるでしょう。
業務日誌、作業日誌、支援日誌の役割と違いついて下記記事にて詳しく解説をしております。
このように、業務日誌とは日々の作業内容や生産性、評価など1日の振り返りを「報告・連絡・相談」する書類となります。別の場所で作業していた職員(従事者)やサービス管理責任者が読んでわかるように毎日記録していきましょう。就労継続支援B型の業務日誌には書き方に決まり(テンプレート)はありません。
業務日誌が理解いただけたら、書く前にやっておくべき3つのポイントを紹介します。内容は個別支援計画書の確認・作業内容・会話内容のメモです。下記で詳しく解説しています。
ぜひ、書く前の参考にしてください。
サービス管理責任者の作成した個別支援計画書を確認しておく
書く前にやっておくべきことの1つ目は、個別支援計画書の確認です。個別支援計画書とは、事業所が利用者に対してどのような支援を行うかを、家族・利用者との話から具体的に支援する内容を記した書類です。また、事業所を利用するにあたって重要であり、今後モニタリングや担当者会議のときに必要になる書類でもあります。
利用者が、就労継続支援B型だけでなく、障害福祉サービスを受けるためには、障害者総合支援法に基づいて障害福祉サービス事業者が利用者ごとに個別支援計画を作成することが必要です。
さらに、事業所は個別支援計画に基づいて支援を実施することが義務付けられています。利用者が事業所を利用する際の家族・本人の希望を聞いたうえで作成します。内容は、短期・長期目標の作成、到達目標の作成などがあります。それに基づいて職員(従事者)は支援をしていかなければならないため、業務日誌の確認も必要となります。
個別支援計画書は利用者が通所している事業所のサービス管理責任者が作成します。
日々の記録になるのでしっかり確認して疑問点はサービス管理責任者に質問して解決しておきましょう。疑問を持ったままの支援は利用者の利益に繋がりませんしスキルアップ・ステップアップの妨げになるからです。
利用者の希望に沿った支援が大切です。そのためにも個別支援計画書を確認することはとても重要になるでしょう。
職員同士、支援に対して理解度の共有も重要となります。そのため、職員同士で話し合いを行い、情報の共有も大事になるでしょう。
利用者の作業内容をメモしておく
2つ目は、利用者の作業内容をメモに残しておくことです。なぜなら、1対1の支援ができる体制であればメモも必要ありませんが、複数人が同じ作業をしている事業所内は、職員ひとりが利用者全体の動き、作業態度など、覚えておくことが困難だからです。さらに業務日誌は、1日の振り返りを記録する目的もあります。そのため特に記憶が曖昧になりやすい午前中・お昼にあったことはしっかりメモしておきましょう。
業務日誌は、途中経過を記録することが作業中は難しいですし、複数人いる利用者全員の行動・変化・状況の把握はとても困難です。頭で覚えている記憶よりもその場でメモに残した記録の方が信憑性も信頼性もあり、いざ書く際にスムーズに書くことができるでしょう。
メモに残すことでいつもと違う状況や利用者の作業内容に対して新しい発見があったり、次回のモニタリングやサービス担当者会議のときに必要な情報がすぐにわかることも利点です。
メモの取り方として詳しく書くことも重要ですが、まずは自分がわかればいいので、箇条書きでも問題ないでしょう。ですが日時をはっきり書くこと、5W1Hを意識して書くことをおすすめします。
常にメモすることを意識すると支援中に利用者のことをよく観察するようになります。よく観察すると利用者のスキルアップ・ステップアップにつながる大切な情報が見えてきますし、職員にとってもスキルアップになるので意識してメモをとってみましょう。
利用者との会話内容を忘れずにメモしておく
3つ目は、利用者との会話内容をメモに残しておくことです。些細な会話でも詳細にメモすることがポイントです。なぜなら、もしトラブルになるようなことが起きたときに証拠として使用できます。さらにトラブルの早期解決にも役立ちます。
聞くことでしか得られない情報も、その会話をメモに取っておくとさらに深く会話への理解度も増し、内容の振り返りもできます。書いて覚える場合もあります。
例えば、その場では問題にならず1日過ごしたとしても、翌日以降に何かしらトラブルに陥ったときすぐに対応ができるでしょう。
職員と利用者の会話も大事ですが、特に利用者同士の会話にも気を付けてメモを残しておきましょう。利用者同士のトラブル回避に繋がります。 さらに訴訟問題などに発展したときの法的証拠にもなり得るのでしっかりメモし、記録に残しましょう。
また利用者との会話の中に何がやりたいのか、将来のイメージにつながる会話のヒントががある時は特に業務日誌には記録しておきましょう。次のスキルアップ・ステップアップに繋がります。
会話をメモに残すのはとても難しいことですが、日時・誰が(誰と)・どんな会話をしたのか、しっかり記録しましょう。自分が何を言ったのか振り返りにもなりますし、反省にも使用できます。どう伝えれば利用者に伝わるのか、他の職員からのアドバイスももらいやすくなります。
表現方法・伝達方法は人それぞれなのでメモをとって記載することで、翌日以降、別の職員の声かけのヒントにつながります。同じ失敗を繰り返さないためにもメモは必要です。
就労継続支援B型事業所における業務日誌の重要性とは?実地指導で指摘されない書き方について解説!
書き方が理解できたら業務日誌の重要性についてです。前述でも少し触れていますが、業務日誌は、モニタリングやサービス担当者会議のとき用いられるとても重要な書類です。さらに、トラブルが起きた時の早期解決のため役立ちますし、法的証拠として利用できる書類になり得ます。
実地指導でのサービス提供に関する項目でも必要書類として監査官に確認されます。
なぜ実地指導でみられるのか、下記で詳しく解説していきます。
業務日誌の重要性と役割
業務日誌の重要性についてですが、まず読み手にサービス管理責任者、職員、実地指導の監査官がいることを忘れずに記録しましょう。サービス管理責任者はモニタリングやサービス担当者会議の時に使用します。職員は次の日以降の支援をする際に状況の把握のために確認します。
さらに、実地指導では、サービスに関する書類として監査官が入念にチェックする書類のひとつとなっており、とても重要です。チェックされる項目は、自治体により様々ですが、主に人権擁護や虐待防止のための体制、加算および減算の算定が適切に実施されているか、サービス提供の記録に不備があるかなどが見受けられます。
項目を見てわかるように、日々利用者がどんな行動をして、職員がどう対応したのかが確認できるのが業務日誌です。
業務日誌は利用者のステップアップの役割と、実地指導での確認のためにとても重要な書類といえます。
実地指導で指摘されない書き方
役割と重要性が理解できたら実地指導で指摘されない書き方を学びます。まず、実地指導とは、自治体(指定権者)の担当者が事業所を訪問し、利用者の保護とサービス品質の確保に必要な助言・指導を行う行政指導のことをいいます。
就労継続支援B型だけでなく、すべての障害福祉サービス事業所が対象で、書類および運営状況の確認や管理者・サービス管理責任者などへの質問も行われます。
実地指導の頻度は概ね3年に1度が基本です。
下記では実地指導で監査官に確認される内容を詳しく紹介しています。指摘されない書き方の紹介を項目ごとに説明しています。ぜひ、書く時の参考にしてください。
サービスの提供の記録と出勤簿(サービス提供実績記録票)における日時と内容の整合性が取れている
利用者へのサービス提供実績の記録や利用予約がそれぞれ日時・内容ともに個別支援計画書に沿って実施されているか、またスタッフの勤務形態(予定・実績記録票)・出勤記録が利用者への支援日時と内容に沿っているかの整合性を確認されます。
※ 整合性とは、2つの事柄の間にずれや矛盾がなく、ぴったり一致していること。
利用者の支援に必要な項目が揃っている
利用する際にサービス管理責任者と家族・本人で話し合った、希望する支援が受けられているか、また支援する際に必要な項目が詳細に書かれているとよいでしょう。書く前に項目を揃えておくことで、複数の職員が携わっても問題なく支援をすることが可能です。
項目について下記にまとめました。
- 日時(〇年〇月〇日 〇曜日)
- 押印(支援員・サービス管理責任者のサイン)
- 利用者全員の氏名(フルネーム)
- 午前・午後作業内容(現在支援している作業内容全て)
- 午前・午後指導員名(複数いれば全員)
- 午前・午後作業参加者(フルネームでそれぞれ)
- 早退者(理由あれば尚可、時間も記載)
- 欠席者(簡単でいいので理由があれば尚可)
- 備考欄(会話の内容・作業中の様子)
記載した職員(従事者)の押印
誰が記載したのか明確にするために記録した職員は押印を忘れずにしましょう。押印をすると、責任も生まれます。さらに記録者が誰かわかるとトラブルや支援の変更時にその記録者にサービス管理責任者が詳細に確認ができますし、利用者への支援の幅も広がりやすくなるでしょう。
複数の職員が利用者1人の業務日誌を書いている場合、誰が書いたのかすぐに確認もできます。
出席者と欠席者・早退者がレイアウトで明確に切り分けられている
実地指導で監査官は加算請求などの書類確認があります。その時に出席者・欠席者・早退者により加算請求内容や報酬加算を算定することがあるため、確認するための役割として重要になります。そのため、誰が見てもわかるようにレイアウトしておくことで指摘されにくい業務日誌と言えるでしょう。
さらに午前・午後など時間でも出席・欠席・早退者が明確に切り分けられているとなおよいです。
利用者の作業内容が時間別に記載されている
利用者によって複数の作業をこなすひとがいます。工賃の計算や個別支援計画書に沿って行っている支援・作業なのか確認するため必要になる業務日誌です。1日の振り返りとしても午前・午後で作業内容を分割することで記載しやすくなります。
さらに、早退する場合や、午前中は自宅、午後通所などの場合でも、時間別に記載されていると確認しやすくなるでしょう。
就労継続支援B型事業所の業務日誌における注意点は?3つの書き方をポイントで解説!
業務日誌を書く際に、実地指導で指摘されないように気を付ける点があるように、書くときの注意点もあります。ポイントとして書き方の注意点を、「日時の記載ミス」「単調な文章にならない」「空白がないようにする」の3つで紹介しています。
下記では、なぜこの3つを重点的に紹介しているのか詳しく説明しています。注意点がわかれば、書き方の工夫にもつながりますし、実地指導での指導・減算・追加支払いなどがなくなるでしょう。
さらに、注意点を把握しておくことで、訂正する時間、再考査する時間、書くためにまとめる時間などの短縮にもつながるでしょう。
ぜひ、参考にしてください。
日時の記載ミスは絶対にしない
日々記録をしていれば間違うことはないと思いますが、日時の記載ミスは絶対にしてはいけません。日時が違うという事は、まとめて書いていたり、利用者の出勤の有無・職員の配置状況の虚偽に繋がりかねないからです。
さらに、もし記載ミスがあった場合、利用者の出勤の有無と整合性が取れないため、訓練給付費の請求上、実地指導で絶対に指摘されてしまうでしょう。
利用者のサービス利用状況等を把握するため、事業者はサービスを提供した際は、その都度、提供日、提供したサービスの具体的内容、実績時間数など利用者へ伝達すべき必要な事項を記録し、利用者の確認を受ける必要があります。
そのため、日時のミスがあるという事は利用者に伝達してない、その都度記載していないことになってしまいますので日時の記載ミスは絶対にしないようにしましょう。
毎日同じ内容でも単調な文章で記載しない
体力的・精神的にも安定している利用者または、個別支援計画書に変更のない利用者に対しての支援は毎日同じ作業内容になりがちです。同じ作業内容だと、記載する内容も毎回同じようになってしまいますが、生産性や会話など日々違う所も多くあるので、単調にならないように記載しましょう。
ひとりの職員が毎回同じ利用者のことを記載すると単調になりやすいので、周りの職員に話を聞いたり、別の職員が記載するなどしてみることも大切です。
単調になってしまう原因は、色々ありますが特に多いものとして、利用者が作業中できたことばかり書いていたり、成功例のみを記載しがちです。単調にならないようにするためにもメリットばかりだけでなく、デメリット・失敗例・対策例・提案なども記載するとよいでしょう。
空白がないようにする
空白=作業をしていない(欠席あつかい)または、事業所の休みにつながります。利用者は利用しているのに空白があるという事は、「支援していない」とも取られかねない状況です。
実地指導でも指摘・指導されることになるので注意が必要です。
支援をするなかで、そもそも「何もない」ということは絶対にあり得ません。なぜなら、個別支援計画書に沿って支援をしなければならないからです。そのため支援した事実を何かしら記載する必要があります。
空白を作らないようにするためには、前述で解説したように、作業内容のメモ・会話内容のメモをしっかりとっていることです。そのメモをもとに作業内容や会話など記載ができるので空白はなくなるでしょう。
就労継続支援B型事業所における業務日誌のテンプレート【これで実地指導対策は完璧!書き方の参考にできる雛形(ひな形)】
ここまで学んできて、ひとつ気を付けなければならないことがあります。それは、就労継続支援B型事業所の業務日誌には書き方に決まり(テンプレート)がないことです。なぜテンプレートがないのか、テンプレートを使用すれば指摘・指導も減るのでは?と思うことでしょう。
なぜなら、テンプレートがないと、実地指導のとき柔軟に対応できたり、利用者がみてもわかりやすく、さらに記入しやすくなる利点があります。そのため事業所それぞれの書き方にしたおり、書き方の決まり(テンプレート)がないのです。テンプレートがないことで、基準になる指導員の書き方が重要になるでしょう。
就労継続支援B型の業務日誌における重要性、目的と役割、書き方・注意点は理解できたと思います。
最後まで読んで頂いた皆さんにむけて【これで実地指導対策は完璧!書き方の参考にできる雛形(ひな形)】をご紹介したいと思います。
ぜひ、参考にして無理なく充実した業務日誌をかいていただければと思います。
※ワークショップOHANAの業務日誌テンプレートの一部
まとめ|就労継続支援B型事業所における業務日誌の正しい書き方を理解しよう!
今回は、就労継続支援B型事業所における業務日誌の書き方について解説してきました。
実地指導でも必ずみられる書類のため、正しい書き方で整理しておかなければなりません。
また、記載ミスは訓練給付費の請求上、減算処罰を受けてしまうほど致命的で大きな問題になり得ることから、絶対に書き間違えてはならないところは注意が必要です。
就労継続支援B型事業所に勤める職員(従事者)なら知っておくべき業務日誌について最後、簡単にまとめました。
- 就労継続支援B型事業所にとって業務日誌の重要性
- 業務日誌の目的と役割
- 実地指導で指摘を受けない業務日誌の書き方と注意点
- 業務日報テンプレート(ひな形)
業務日誌の正しい書き方を理解することは重要です。
就労継続支援B型「ワークショップOHANA」にご興味・ご相談があれば、ぜひ下記までお問合せください。
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